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本にまつわるエトセトラ。

過ぎ去りし王国の城/宮部みゆき

15歳の少年、少女が主人公のファンタジーである。ふたりは共に、学校には居場所がない。とくに少女のほうは、いじめに近い目にあっている。

少女が写真と見紛うほどの、写実的で繊細な絵を描くことを、同級生はだれも知らない。

主人公は少年の方で、彼はいじめられてこそいないが、影が薄く友達も少ない。推薦入試でいち早く進学先がきまり、学校に行く理由もなくなってしまった。

ある日の午後、親の使いで行った銀行で1枚の絵を見つけ、拾って帰ってきてしまう。そこには写真のように精巧な古城の絵がが描かれていた。

 

実は宮部みゆきの著作をあまり読んだことがなく、有名な「火車」とか「模倣犯」とか未読である。これで本の虫と言えるのか。とにかく多分宮部みゆきにいろいろな引き出しがあって、その中のひとつを初めてのぞいた感じがした。

ファンタジーは好きな方だし、楽しんで読めたが、この手のものならもっと面白く書く作家がいるなあ、という感じもしたかなあ。王道の宮部みゆきを読んでみようかという気にはなったので、挑戦したらまた書こうと思います。

作中に出てくる「ベネディクト会修道院」についてはとても興味を惹かれる。ドイツにしろイタリアにしろ、古い教会というのが街々にあって、日本の神社と同じように、人々の生活に必要なものとなっている。修道院は厳密には教会ではないが、やはりキリスト教が人々の生活の基盤になっている地域であるし、一度訪れてみたいという気になった。

 

 

過ぎ去りし王国の城 (角川文庫)

過ぎ去りし王国の城 (角川文庫)