恋は雨上がりのように/眉月じゅん
マンガについては完結しているものを優先して紹介しようかと思っている。
今読んでいる現在進行中のマンガでいちばんのお勧めは「約束のネバーランド」だが、ストーリー展開が激しいのでいかんせん感想を述べるのを躊躇してしまう。どう書いてもネタバレしちゃいそう。ネタバレしても別に絶対ダメじゃないんだけど。ただめちゃくちゃ面白いです。ぜひ読んで欲しい。
さて本題「恋は雨上がりのように」(眉月じゅん/小学館)
10巻で完結。女子高校生とおじさんの恋物語というとなんだか大丈夫かよ、という感じもするが、全編通して清々しい。おじさんがおじさんの自覚をしっかり持っていて勘違いしないのと、女子高校生がかなり大人っぽい見た目(中身はちゃんと女子高校生である)なのが良いのだと思う。
私の場合、マンガは絵が好みかとうかがかなり重要なので、どんなに面白くてもどうしても読めないものもある。このマンガの絵は、じつは好きな方ではない。でも読めなくはない、という感じ(何様)。けれども読み進むにつれ、あきらちゃんが可愛く思えてきて、店長も(かっこよくは思えないけれど)応援したくなるような人物に思えてきた。
何がよかったかというと、恋が成就するかどうかというのが最終結論にならなかったところだと思う。恋の行方を追って読んでいた人には物足りなかったかもしれないけれど、この悪く言えばちょっと中途半端な結末がとてもリアルに感じられた。とくに高校生くらいの頃の女の子の年上男性への恋心って、実際こんな感じで淡く、いつの間にか終わってゆくのではないかなあと思う。
ずいぶん昔になってしまった自分の記憶を引っ張り出してきても、そんな気がする。
(この恋のことを)あきらちゃんは将来忘れてしまうだろうし、忘れてもいいんだよ、という、店長のせりふがとても心に残った。
最初の記憶
初めて読んだ本のことは、もちろんのこと覚えていない。
母方の叔母が幼稚園教諭をしていた関係で、シリーズ物の絵本を毎月、送ってくれていた。私は父方、母方両家ともにとっての初孫で、祖父母からもたいそう可愛がられ、たくさんの本を与えてもらっていた。
その中で最初のお気に入りが「長ぐつをはいたねこ」という絵本。たくさんある絵本の中から、なぜかいつもこれを選んで読んでいたそう。
特に気に入っていたという記憶はあまりないのだけれど、確かに幼少期に読んだ絵本の中で、このお話のことははっきりと覚えているので、繰り返し読んでいたというのは事実なんだろうと思う。
あらすじ。三人兄弟の三男が、両親が亡くなった後の遺産相続で飼い猫1匹を相続する。ちなみに兄たちは家だのロバだのを相続している。猫だけか〜、と思って途方にくれていたが、その猫がなんとも知恵のある猫で、様々な策を講じて三男はとうとう王様の娘から見初められ、めでたく結婚するのでした、めでたしめでたし、というお話。
猫がとても賢いのは勿論のこと、この三男がなかなかいい男であるというところがポイント。猫の力だけでは姫だけでなく王様まで味方につけることはできなかっただろう。お話としては、わらしべ長者に近いものがあるが、知恵を使うという点でとても面白かったのかもしれない。
- 作者: シャルルペロー,ハンスフィッシャー,Charles Perrault,Hans Fischer,矢川澄子
- 出版社/メーカー: 福音館書店
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- メディア: 大型本
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騎士団長殺し/村上春樹
読了するのにとても長い時間がかかってしまった。これはひとえに自分の問題であって、この小説がどうという問題ではない。
最近の数作に共通するテーマ、モチーフ。最近と言わず、ずっとかも。少なくとも海辺のカフカや1Q84とはとても近いものを感じた。ふかえりと秋川まりえって、ほとんど同じ役割ではないだろうか?
とは言え、今回は最後に子供が産まれるという点で今までの主人公ではありえなかった。これまでの村上作品で子持ちの主人公って、たぶんいない。この変化がなんなのか、気になっている。
そもそも私は村上春樹の大ファンだけれど、本当に仲のいい友人を除いてはこのことをほとんど公表していない。それは最近の村上春樹ファンに対するイメージが、なんというか自分とは大きくかけはなれた、居心地の悪いものになっているからで、きっと私と同じように感じているファンもたくさんいることと思っている。
私は高校生のときに初めて読んだ「風の歌を聴け」以来、とにかく彼の書く文章が好きで、読んでいて心地よく、なんでもいいから彼の書いたものをもっと読みたいという気持ちでずっと読んできた。彼の小説を同時代に読むことができることに感謝すらしている。50年後に生まれていたら新刊が出るドキドキを味わうことはできなかった。だから、「騎士団長殺し」も久しぶりの春樹節といった感じで、とても楽しく読みました。次も楽しみに待ってます。